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中村成志さん主催の五首選会に初めて参加させていただきます。


自選5首「文房具」

008:原
君という記号に幾百の記憶負わせ葬る原稿用紙

009:いずれ
買いすぎたあまたのペンはいずれまた降臨する神様への供物

053:藍
また今日も文字になれずに藍色のインクはほどかれる水の中

082:チェック
チェックペン使わない派の君が読むテストの朝の白い教科書

100:最後
日に透かす役目を終えた替芯の声にならない最後の言葉


文房具が好きなので選んでみました。
もっといろいろ詠めばよかったと思いますが、走っている間は無我夢中でした…
初心者ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

題詠blog2014投稿歌100首はこちら
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by mifune_machiko | 2014-12-06 19:25 | その他
001:咲
私には私のひかり風と水花びらのない花を咲かせる

002:飲
こんなにも冷めてしまうね濃く苦く紅い液体くちびるで飲む

003:育
可能性という言葉の残酷さ育ちそこねた選択肢たち

004:瓶
牛乳瓶ケースの木箱ささくれて待たない日々に慣れてゆくこと

005:返事
気の利いた言葉は邪魔なだけだったうなずくだけでよかった返事

006:員
速さより几帳面さに癒されて研修中の店員のレジ

007:快
快腸の詳細話す人もなく家族の意義をふいに見つける

008:原
君という記号に幾百の記憶負わせ葬る原稿用紙

009:いずれ
買いすぎたあまたのペンはいずれまた降臨する神様への供物

010:倒
倒置法未遂で終わり好きですの理由は今も分からないまま

011:錆
一晩で爪痕残すもらい錆私にはない情念の赤

012:延
もしかして時を戻せる魔法かも遅延証明もぎとり走れ

013:実
実在の人物ですか今もなお記憶の玉座に居座る君は

014:壇
教壇に足を掛けては怒られて最前列で夢を見ていた

015:艶
前髪をはらう指先艶めいて五千万回盗み見ました

016:捜
まだ残るものたちがある段ボール強制捜査で持ってかれても

017:サービス
生涯のサービスタイム終了し君の気配をたどる無意識

018:援
応援て便利な言葉どす黒い独占欲に気づかないでね

019:妹
姉妹都市くらいの中途半端さであなたにお近づきになりたい

020:央
大阪の空が見たいの銀色の電車は千里中央目指す

021:折
金属じゃないみたいです何万回折れてもちぎれない心です

022:関東
その昔なじめなかった関東も埼玉県は君の住む町

023:保
えぐられた傷の深さに気づかずに静かに横になる保健室

024:維
繊維街青い飛脚は駆け抜ける君の台車に耳をすませば

025:がっかり
待ち伏せのしがいのない日がっかりを蹴散らすようにぐんぐん歩く

026:応
ちょっとした風の動きと第六感いつでも君に反応できた

027:炎
炎症を起こしてますね自己愛のこじれた闇の先にあるもの

028:塗
はげていく塗装の行方空気中散らばりながら君を探すよ

029:スープ
溶け残るスープのダマの濃厚さ明け方に来て去ってゆく人

030:噴
噴水の骨組み見える一瞬の静寂君の名前呼びたい

031:栗
知りたくてひりつく心とめられず爪に食い込む団栗の皮

032:叩
立合いはまさかの変化叩き込み私一人で恋をしていた

033:連絡
あらためて歩いてみればこんなにも狭い連絡通路を君と

034:由
秘めなさい大いにふくらませなさい由緒正しい片恋作法

035:因
素因数分解傷口は開く私は一人分かっているの

036:ふわり
私いますごく死にたい守護霊がふわり目隠ししてくれる夜

037:宴
球宴のベンチのようなどさくさで君にふれたい話しかけたい

038:華
寄り添って薄い体温分け合えば華奢な体にともる火がある

039:鮭
金太郎飴の日常それもあり鮭をまとめて焼く日曜日

040:跡
足跡はぬかるみの中抱き合って君との間にまだ傘がある

041:一生
一生分ときめきつくし何もない日々を生きてくはずだったのに

042:尊
かわいいと尊敬はほぼ同じ意味好きな時しか言わない言葉

043:ヤフー
数文字を打ち込むだけで分かることヤフーの窓に今日も聞けずに

044:発
発情を摘まれた猫の平穏に顔をうずめて私もひとり

045:桑
いつか来るその人にふれられるため桑の葉だけを見つめて食べて

046:賛
賛美歌の歌詞さえ君に重なって神よ私はみだらな女

047:持
厳格な持ち物検査すり抜けてペン一本で描く曼荼羅

048:センター
ふっきれた頃には遅い特大のセンターフライ走者はいない

049:岬
声からし君の名を呼ぶためだけの岬を胸に飼っていました

050:頻
頻繁な偶然君は気づいてた静かに私泳がされてた

051:たいせつ
たいせつな空間でした意味深な沈黙二人愛でてるだけの

052:戒
警戒心まみれの君のまなざしにまた会いたくて困らせたくて

053:藍
また今日も文字になれずに藍色のインクはほどかれる水の中

054:照
ひんやりと強い指先ふれあって日照時間少なめの人

055:芸術
繊細と言えば繊細わがままと言えばわがまま芸術男子

056:余
右半身君の余韻を残しつつ裂かれるように校門くぐる

057:県
県境いくつ越えれば会えますか地面は君に続いてますか

058:惨
来るべきじゃなかった一人水族館惨めな私見てるピラルク

059:畑
立ちどまることを自分にゆるしたら山と畑と空のある町

060:懲
懲役の数が寿命かあと何年待てば消えるか私の罪は

061:倉
品番があれば私も選ばれる?人待ち顔の物流倉庫

062:ショー
鳥かごの中で高鳴るショータイム君が集荷に来る三時半

063:院
繰り返し取り出しすぎた思い出に院政敷かれ動けなくなる

064:妖
おそらくは妖術君を群集の中に見つけたわけを知らない

065:砲
圧力を味方につけて遠く跳べ陽気な音の空気鉄砲

066:浸
完全に乾いてはない言葉たちペン先軽く水に浸して

067:手帳
雨の日に活字求めて生徒手帳開けば謎の校則並ぶ

068:沼
底なしの沼は誰にもあるけれど凪いでいるならつらくないから

069:排
光合成いつかするためため息の排出量を確保しておく

070:しっとり
しっとりと湿らせた足耳をなでどこまで愛おしいのか猫は

071:側
側道を一人行きます幸福は距離も速さもいらない場所に

072:銘
「記銘・保持・想起」記憶の理論たち君につながる心の行方

073:谷
逃げることまだ知らなくて生き抜いた四谷の空を思い出せない

074:焼
無機質な知性が売りのはずなのに焼きが回って会いたいなんて

075:盆
誕生日うやむやになる盆生まれ送り火の日がそれと言えずに

076:ほのか
全能の父よどうして取り上げるほのかにひなた香る生き物

077:聡
禁断の紺色エロス聡明な額に指を触れてみたくて

078:棚
つり革と網棚だけが知っている二人の磁場の微細な変化

079:絶対
強がりも愛想笑いもいらないの君の絶対値を私にも

080:議
議事録に残らないことお茶出しの時に震えた茶托について

081:網
宇宙的通信網よ教えなさいあの人は今笑ってますか

082:チェック
チェックペン使わない派の君が読むテストの朝の白い教科書

083:射
射抜かれる君の視線は指先に貼りつく氷 でも癖になる

084:皇
近すぎて何も見えない天皇陵鍵穴萌えていよいよ緑

085:遥
また何も話せなくても同じ時生まれ落ちたい遥かな願い

086:魅
無防備な原石奪い去りたくて君の魅力に誰も気づくな

087:故意
偶然と故意の境界気づかれず何も始まらない物語

088:七
ぱたついた尻尾隠していたいのに立って君待つ十七夜です

089:煽
沈黙の中で培養されるもの煽られたって口にはしない

090:布
顔半分布で覆えば出る勇気目尻にしわをいっぱい散らし

091:覧
高さより距離が気になる観覧車 き、きみの家はどのあたりなの

092:勝手
妄想の中で勝手にしゃべらせて実は声さえ知らないでいた

093:印
印画紙に日光写真青く浮き今言わないといけない言葉

094:雇
「天職は雇われ店長」いつぞやの四柱推命縛られている

095:運命
劇的な分かれ道より何気ない日々が集まり運命となる

096:翻
乱暴に翻訳すればすべて愛 出ずる命も消える命も

097:陽
月明かりさえざえと降る陰陽のマークになって眠る二人に

098:吉
合格の吉報届きさよならのカウントダウン始まり告げる

099:観
引導を渡されるのを待ちながら観音竹の筋を数える

100:最後
日に透かす役目を終えた替芯の声にならない最後の言葉
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by mifune_machiko | 2014-12-06 18:54 | 短歌